著作物自体「振り付け」や「曲」を除き、手に取ることができるものが多いので、売ったり譲ったりすることは簡単であると思っている方が結構います。しかし、それらは著作権の存する著作物を具現化した物lにすぎず、本当の意味の著作物ではありません。
法的にも問題のないように著作物を譲渡(著作権を移転)することは、結構大変なのです。
上図でも分かるように、一般的に美術や写真といった属性のものは「著作物=有形物」であるため、問題はありませんが、無形の著作物というのは、通常目にすることができないため、これをヒトに知覚できるようにするために書籍やCDといった物に置き換えられています。
もちろん、有形のものでも写真をデータ化して複製したり、絵画を模写して販売したりすることができる訳ですが、特に無形の著作物を有形化した場面で誤解が生じやすいことは覚えておいてください。
それでは、実際に著作物の譲渡契約を考える前に、著作物を第三者に利用させる場合の主な2パターンを見てみましょう。
@買取型(作品の著作権はすべて契約相手に譲渡する)
Aライセンス型(作品の著作権はすべて自身に留保する)
@買取型のパターンが、本ページのテーマである著作権を移転させるケースです。
例えば企業からCMなどの企業名とともに流れるメロディ(サウンドロゴ)の作曲を依頼されたり、ホームページやパンフレット用のイラスト作成を依頼された場合などに、成果物の納入と同時に著作権を譲渡するようなケースが考えられます。
あくまで用途が限られているので、依頼を受けた側もあまり権利主張にこだわることもなく、依頼側も完成作品を様々な用途へ自由に利用したい場合の合意となります。
これに対してAライセンス型のパターンというのは、例えば既に発表されている曲を主題歌やBGMに使いたいとか、様々な商品展開を見据えたキャラクターデザインを依頼し、販売数に比例したロイヤリティを設定するケースなどが考えられます。作品の創作者の権利にかなり配慮した契約形態といえます。
言い換えると@買取型は著作権が完全に移転するのに対して、Aライセンス型は著作権が移転することなく、留保されます。ただし、著作権(著作財産権)とは別の著作者人格権(→詳しくは「著作権とは」へ)については、最初に創作した者から移転しないため、@の場合もAの場合も、最初に創作した者に留保されます。
それでは、著作権譲渡契約のポイントです。まず、作品の創作を依頼された場合でも、すでにある作品を「使わせて欲しい」と依頼された場合でも、著作権が創作者に留保される「ライセンス(利用許諾)」ではないことを確認します(契約書等で著作権が移転することを明示する)。
また、複数の著作権を含有するような作品の場合などは、譲渡される部分、されない部分を明示します(他者が権利を有するものにも注意)。あわせて二次的著作物(もとの著作物から作られる新たな著作物)の概念にも注意が必要です。
差し支えがある場合、移転することができない著作者人格権に基づく各権利ついて、著作者が権利行使しないよう合意するのも自由な作品利用の観点からも有益です。以上を踏まえた主なポイントは次の通りです。
@著作権が移転すること、移転の時期を明確にする
A譲渡される著作権の範囲を明確にする
B著作物の変形(翻案)や二次加工(二次的著作物)に関する権利についても記載
※譲渡する場合は「著作権(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)を譲渡する」と記載。
C著作者人格権の不行使を明示する。
D著作権が譲渡人(著作権を譲ろうとする方)に帰属するものであることを保証する。
もっと検討事項はたくさんありますが、主だったものは以上のようになります。くどいですが、単に有形の物を引き渡すだけでは、著作権を譲渡したことにはなりませんし、かといって著作権は目に見えないものですので、必ず契約書で以上のような合意内容を示しましょう。
当事務所が取り扱う著作権に関する主な業務は(1)著作権登録、(2)著作権の権利処理、(3)著作権信託契約に関するサポート、の3点になります。
当事務所の著作権業務 |
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言語、美術、音楽、映画、写真、舞踊、建築、地図、図形の登録 | 実名の登録、第一発行年月日等の登録、権利移転の登録、質権の設定等の登録、出版権設定等の登録 | |
プログラム | 創作年月日の登録、第一発行年月日等の登録、実名の登録、権利移転等の登録 | |
著作権の権利処理 |
自らが創作 | 権利保全手続、譲渡、許諾、共有etc |
職務著作(法人の使用者が創作) | 業務上の創作、法人名で発表、契約・就業規則のチェック | |
外部委託により創作 | 譲渡契約、利用・使用許諾(独占・非独占)、人格権不行使、共有etc | |
著作権信託契約支援 |
JASRAC等、著作権管理団体 | 個人契約、法人契約(支分権や利用形態ごとの信託) |
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著作権に関する問題、悩みは複合的であり、じっくりお話を聞いてみないと、適切な答えは導けません。当事務所は音楽やIT業界をはじめ、出版、写真、美術、商業デザインなど、様々な業界に通じております。これまでの経験を通して、最良な道筋を導きたく思います。
著作権譲渡契約書:¥30,000〜¥80,000(税抜)
著作物利用許諾契約書:¥30,000〜¥80,000(税抜)
著作権の登録申請:¥50,000(税抜)
存在事実証明作成:¥30,000(税抜)
著作権侵害に対する告訴:¥50,000(税抜)
著作権侵害予防法務:¥20,000(税抜)/月(税抜)