動画配信をしたい

 最近は誰でも気軽にコンテンツの発信ができるようになってきましたが、中でも動画配信が注目されています。
 動画配信の方法で手軽なのはYoutubeやニコニコ動画、Dailymotionなどの動画投稿(共有)サイトでしょう。
 アーティストがこれらに投稿する場合、多いパターンとして考えられるのは

@クリエーターやデザイナー、カメラマンが自身の作品にBGMを加える
A個人やバンドが特定の作曲家の曲を演奏、歌唱
B既存の音源や動画を用いて二次加工
C上記に関連して歌詞を表示またはジャケットを表示
D自らが作曲した作品またはカバー曲をボーカロイドに唄わせる

 などです。意外と多くなってきている録画放送映像の投稿などは著作権的に問題があるのは明白ですし、アーティストの方々がこのような投稿をされることは少ないでしょうから置いておきますが、上記の@からDのような場合でも、多くの法的問題を孕んでいますので、注意が必要です。

動画投稿サイトにおける著作権の限定解除について

 テレビやラジオなどの著作権法上の「放送」は、著作権、著作隣接権まで含めて「事後報告」して放送後に使用料を払うようになっています。ですが、動画配信のような「通信」は著作権者、著作隣接権者に対して事前に利用許諾申請をしなければ原則的には違法です。
 著作権者に無断で音楽や映像をインターネットで配信(アップロード)することは、刑罰として、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金(またはその両方)が科されるわけです。
 「ちょっと、待って!みんな動画投稿サイトに音楽や映像をアップしてるじゃないか!」
 そう思われるかもしれません。これは動画投稿サイトによる「限定解除」の働きによる恩恵です。
 2007年のYoutubeを皮切りにJASRACとの個別契約によって、ある程度の楽曲を利用することが(JASRACを通している)権利者より容認されたわけです。
 具体的には下記の通りですが、注意が必要なのは、あくまで「楽曲を利用」することが可能となっているにすぎないという点です。

 
動画配信サイトの経緯

◆YouTube
  2007年10月 JASRACと契約
 ・JASRAC管理楽曲等
→自身で演奏、歌唱したり、DTM・ボーカロイドで作成することは可能

◆ニコニコ動画
  2008年4月 JASRACと契約
 ・JASRAC管理楽曲
 ・イーライセンス管理楽曲
 ・JRC管理楽曲
→自身で演奏、歌唱したり、DTM・ボーカロイドで作成することは可能

  2011年 7月 株式会社EMIミュージック・ジャパン等と契約
  ・許諾原盤検索システム 
→ 一部、登録されている楽曲のみ(約10,000曲程度)

◆USTREAM
  2010年 7月 JASRACと契約
 ・JASRAC管理楽曲
 ・イーライセンス管理楽曲
 ・JRC管理楽曲
→自身で演奏、歌唱したり、DTM・ボーカロイドで作成することは可能
 ・ホワイトリスト
→ 一部、登録されている楽曲のみ(約1,000曲程度)

上記の赤文字部分にあるように、原則として演奏者がJASRACに登録されている楽曲を演奏したり、ボーカロイドに唄わせたものを配信することに問題はありません。はじめに挙げたパターンとの対比は下記をご確認ください。

@クリエーターやデザイナー、カメラマンが自身の作品にBGMを加える
JASRACに登録されている、いないに関わらず、音源(CDなど)をそのまま使用する場合、製作者および演者の許諾が必要です※1。JASRACに登録されているCDの場合は、JASRACに使用料を支払う手続き等だけで可。
A個人やバンドが特定の作曲家の曲を演奏、歌唱
 JASRACに登録されている楽曲を用いる限り、問題ありません。
B既存の音源や動画を用いて二次加工
JASRACに登録されている、いないに関わらず、原則、不可です。原盤製作者および演者、作曲者等、権利者すべてに許諾を得る必要があります。直接連絡が取れない場合は、所属事務所等に連絡します。
C上記に関連して歌詞を表示またはジャケットを表示
JASRACに登録されている、いないに関わらず、原則、不可です。作詞者に許諾を得る必要があります。直接連絡が取れない場合は、所属事務所等に連絡します。
D自らが作曲した作品またはカバー曲をボーカロイドに唄わせる
JASRACに登録されている楽曲を用いる限り、問題ありません。

※1 CD音源等をそのまま利用する場合、ニコニコ動画においては許諾原盤検索システム、USTREAMにおいてはホワイトリスト に登録されているものに関して、使用料や許諾を得ることなく利用可能です。


まずはご相談を

 服部行政法務事務所では、動画製作、著作権、曲の利用などに関して積極的にご相談を承っております。
 また、権利者が不明確な場合や、調査希望の方も、お気軽にご相談ください。ミュージシャン・デザイナーとして、そして行政手続きの専門家として、納得のいくまでサポートさせて頂きます。



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