特上カバチ!!第3話のあらすじについてはTBS公式サイトで、ご確認ください。
第3話に来て、ついに現実的な問題「弁護士法違反」がテーマになってきました。 これでますます、注目のドラマとなりましたね。
住吉がナイトー事務機器に枯草の給料前借請求について主張しに行く場面。
前回も貸金返還請求を住吉が直接伝達しておりますが、最後に触れたように裁判例の一つとして「書類の内容について他の者に説明することについては」行政書士ができるとする見解がありますが、今回の住吉の取った行動については、そもそもその根拠となる書類が思いつきません・・・。
確かに(契約)社員が勤める会社の上司に内容証明を出すことが絶対にないとは言えませんが、普通に考えて、それは行わないと思いますし、いずれにしても書類を突き出しているような場面もありませんでした。
さらに相手方との討論となっておりますからこれは使者ではなく、代理人として行動していると考えられ、やはり前回同様、弁護士さんの業務となっております。
これは岡本さんの契約更新について抗議している場面においても同様です。
尚、弁護士以外でも労働関係トラブルに関しては社会保険労務士が一定の講習を受けて認定される特定社会保険労務士に限って「あっせん代理人」として今回の住吉のような行為を行うことが可能です。
社会保険労務士は労働関係の法律の専門家なので、ひょっとしたら、弁護士さんよりも特定社会保険労務士に依頼する方がイイ感じに解決できるかもしれません。
いずれにしても、行政書士がここまでやることは許されないと考えられますので、後に出てくるように検備沢弁護士の登場となるわけです。
ところで、今回枯草さんの件で争点となっていた給料についてですが
労働基準法第24条には
(1)通貨払いの原則
(2)直接払いの原則
(3)全額払いの原則
(4)毎月1回以上払いの原則
(5)一定期日払いの原則
が定められています。
これは生活の原資としての賃金の重要性に配慮し、その支払いを確実にするために規定されており、そもそも労働基準法自体、労働者を保護するために用意されたものです。
なので
今回言われている給料の前払いは「給料の非常時払い」といって、上記5原則の例外として従業員の家族に出産や病気、結婚や死亡などあったときは、給料支払日前でも従業員からの請求により、今まで働いた分の給料の範囲内で前払いをしなければならないのです(労基法第25条)。
住吉が主張していたのはもちろんこれですね。
さて、一番気になる検備沢弁護士が登場してからの住吉や重森たちの態度の急変についてですが
これまで見たように前回や今回の話で住吉は弁護士法72条違反を犯しているおそれがあり
これは弁護士の資格を持たない者が報酬を得る目的で弁護士業務を反復継続の意思をもって行うことを禁止し、これを犯したものは刑罰に科されるというものです。
この場合、実際的には検備沢弁護士は警察か検察(多いのは検察か)に告発するのが一般的だと思いますが、ドラマ上では何故か「行政書士会に行政書士法違反で懲戒請求する」ような事を言っておりました。
これは行政書士法第14条にある「行政書士が行政書士たるにふさわしくない重大な非行があつたとき」を根拠にしておりますね。
これは実は「検備沢弁護士の脅しが優しいことを意味する」のかな?
と思います。ここまで押さえていれば「弁護士法違反で告発する」と言えばいいわけで、これをあえて「行政書士会に行政書士法違反で懲戒請求する」という言い方をするのは穏便にすましたいのか、あるいは第1話で住吉を気に入っていたようなので、行政書士として活動できなくしてから、再度弁護士を目指すことを勧める気なのかもしれません。
ともあれ、現時点では検備沢弁護士のポジションは、まだわかりません。
はっきりいえるのはこのドラマ、弁護士会や行政書士会が協力しているか、あるいは結構詳しい方が、弁護士会や行政書士会に迷惑をかけないように相当気を使っていると思いました(番組内で妙に行政書士会報誌「日本行政」も映ってますし・・)。
あと、第一話にあった重森の報酬についての説明が今回の話や今後の話の伏線になっているのだと思います。