ネット通販について

 楽天市場や、Yahoo!ショッピングだけでなく、自社のホームページ上においてもネット通販を始めたいという方のご相談をよくお受けします。当事務所では、人的ネットワークを介してこれらの要望に技術的にもお応えできますが、ここでは、法的な側面のみご紹介します。

ネット上の契約

 ネット通販とは、言い換えれば「ネット上の売買契約」です。もっと法的な言い方をすると「オンライン契約」となります。
オンラインでは、隔地者間の契約と言って「一方の当事者からの申込に対して、相手方からの承諾通知が発送された時点で契約が成立する」という民法の原則で考えれば、(1)消費者が「購入したい」という意思を送信、(2)これに対して販売側が「販売します」という承諾を通知をすることで(3)売買契約が成立という流れです。
先に「販売側が商品・サービスを掲示しているじゃないか!」という考えもあるかと思いますが、これはあくまで「販売の誘引(宣伝)」であり、申込の意思表示とは考えないことになります。
ただし、(1)と(2)の段階で、通信システム上、(回線トラブルなどによって)到達・受信しない場合があるため、電子契約法という法律で、契約当事者双方に(問題なく)意思が到達しない場合は、(3)の契約が成立しないことを定めています。これは「BtoB」「BtoC」「CtoC」いずれの場合であっても同じです。

契約書に替わる規約

 オンラインサービスで販売者側がサービスを提供し、これを利用者が利用しようとする場合、通常は販売者とサービス利用者間でサービス利用契約が締結されていると考えます。
問題は、オンラインサービスの場合、双方に(特に利用者側に)契約条件についての交渉がされていないことです。そこで、販売者が事前に定めた利用規約を掲示しておき、これを利用者が納得した上で、利用申込書などを提出するという形式があります。

ただし、利用者が申込を行う際に本当に利用規約を読み、すべての内容を理解し了承しているかは断言できません。これでは、結局あとからトラブルとなってしまいます。
ただ、裁判で争われた内容では、それでも利用規約に従った契約の成立を認めることが多いのです。
というのも、オンラインサービスのような広範囲の利用者にサービスを提供する事業者にとって、すべての利用者と逐一契約内容を交渉することは事務処理上の負担からみて、難しいため、利用規約を定めた上で画一的にすべての利用者と契約する方が妥当だからです。

また、それぞれ逐一契約内容を交渉すれば、オンラインサービスでありながら、それぞれの利用者によって契約条件が異なりますので、それぞれに不平等が生じるということにもなります。
結果的には、仮に利用者がしっかりと利用規約を読まずにサービスの申込を行ったとしても、それは利用者が「不平等な内容が書かれているはずがない」と利用規約を信頼し受け入れたものと解されるため、例え利用者が規約の各条項を熟知していなかったとしても、利用規約に従った契約の成立に問題はありません。

不平等な条件はNG

 利用者が利用規約を読まずにした申込が有効と言っても、だからといって、どんな条件でも定めることが可能という訳ではありません。

利用規約の内容について公平さを損なうものが作られないよう、利用者を救済するための制限(強行規定と呼ばれます)が消費者契約法によって定められています。
一般的に事業者よりも、利用者(消費者)の方が、法律や商品に関する知識、交渉力が乏しいと考えられているからです。このような法律の代表的なものが「消費者契約法」で、例えば消費者契約法8条や9条は、事業者が行う消費者との契約の内容に以下のような条項が含まれていれば、その部分について無効であると定められています。

万が一、ネット通販を行いたい場合、先に述べたような契約成立の条件やタイミングを踏まえながら、消費者を救済するための制限にひっかからないように注意しなくていけません。

まずはご相談を

 以上に挙げた特定商取引法やIT書面一括法、割賦販売法、資金決済法、個人情報保護法など、考慮しなければならないことはたくさんあります。
服部行政法務事務所では、これらの経験を豊富に持ち、知識、人的ネットワークを多く有しております。
 NDA(秘密保持契約)について、お気軽にご相談ください。IT業界出身者として、そして行政手続きの専門家として、納得のいくまでサポートさせて頂きます。



ページトップへ
京都府京都市中京区御幸町通蛸薬師下ル 船屋町367 ロイヤルプラザ御幸町5階   Copyright (C) 2009 Hattori Administrative Legal Office All Rights Reserved.