カバチタレ!第2話「暴走!包丁もったおばさん」

 カバチタレ!第2話のあらすじについてはフジテレビ公式サイトで、ご確認頂き、詳しくはDVD等を見てください。

カバチタレ!行政書士から見たレビュー

 ドラマのカバチタレはやけに「告訴」ネタが多い気がします。通常、告訴というのは国民に認められた権利の行使ですから、違法性はまったくないのですが、これを利用して相手を恫喝することは前回も触れたように問題があります。

 一子がダンスを練習している場面にやってきた栄田が痴漢男の慰謝料と治療費、30万円を請求し、告訴の可能性をほのめかす。

 この場面でやはり栄田が相手を恫喝しておりますね。これは大いに問題です。
 さらにこのような交渉を直接、行政書士が行うこと自体問題があります(報酬をもらって行う場合)。しかし、これについてはドラマ後半でポイントとなりますので、今回は深入りしません。

 それよりも今回、指摘しておくべきは栄田の慰謝料請求等の根拠ですね。
これは民法709条の不法行為に基づく損害賠償請求であろうと考えられ、その「不法」とは刑法における傷害罪と同旨であろうと思います(告訴を示唆しているのはこの罪ですね)。

 しかし「一子が男にお尻を触られ、男を突き飛ばし。その後、酔っ払っている男はよろめいて歩き出し、こけて、怪我をしたのもの」という事実関係を聞いた希美が「一子は全然悪くない」と主張した通り、一子の行った行為が刑法の傷害罪として罰せられるかといえば、正直難しいでしょう。

 そもそも構成要件という刑法の要件に合致するか否かが怪しいですし(男が勝手に1人で転んでいるため)、百歩譲って転んだことと突き飛ばしたことの因果関係が認められたとしても、正当防衛となるから犯罪に問われないと考えられます(違法性阻却事由)、さらに、百歩譲って正当防衛の構成要件(1. 急迫の侵害、2. 不正な侵害 、3. 自己または他人の権利防衛のため、4. やむを得ずにした行為)のいずれかが否定されたとしても、このような告訴について検察の方で不起訴されると考えられ、一子が処罰されることは、まず有り得ないと言えます。

 おそらくこのドラマでの栄田は相当優秀な設定になっているので、これは解かった上で慰謝料請求を行なっており、大いに問題があります。

 さて、ちょっと話が小難しくなってしまいましたが、結果的に一子が両親の用意した家の購入資金から慰謝料を支払ったことで、ストーリーは意外な方向に・・。
母親が大野事務所で大暴れして、結局は家の購入を諦めるという流れになりましたが、どうやら痴漢男は慰謝料ガッポリ儲けてしまったようですね。

 それとストーリー後半で「占有屋」と呼ばれる親子が競売で買おうとしている物件を借りて、競売の妨害をしている場面がありましたが、このドラマが平成13年のため、ややこしいのですが、実は平成15年に民法改正があり、抵当権よりも後に設定された賃借権によって賃借人が買受人に対抗することができなくなりました。

 賃借人は明渡しまで6か月間の猶予期間が与えられますが賃借人は、この期間内は買受人に対して賃料相当額を支払い、賃料相当額につき1か月以上支払いが滞るようであれば保護引渡の対象となるものですので、ドラマにあるような困った状態には比較的ならないといえます。

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