カバチタレ!第1話「恋する女、温泉に売られる」

 カバチタレ!第1話のあらすじについてはフジテレビ公式サイトで、ご確認頂き、詳しくはDVD等を見てください。

カバチタレ!行政書士から見たレビュー

 カバチタレは今回の話に限らず、行政書士がかなりカッコよく見えるように脚色されております。
 これはもちろん、ドラマという性質上やむを得ないのですが、ここではいくつか実務上から見てのポイントを指摘しておきましょう。

@冒頭、栄田が内容証明を書く場面
 これは、完全に行政書士の業務です。行政書士法第1条にある「権利義務に関する書類の作成」にあたり、行政書士と弁護士の業務です(社会保険労務士や司法書士では行えません)。

 今回は労働基準法20条による解雇予告手当および、24条による未払賃金の請求を本人に代わって代書しています。

 実務上では、行政書士の方から一方的に本人にこれらの書類の作成や手法を行わせることは望ましくなく、あくまで本人からの依頼により行わなければなりません(ドラマでは、一方的に行ってますが、報酬を請求せず、ボランティアのようなので問題ありません)。

これは以後の場面で常に栄田らが(仕事として行う場合)「これは、依頼ね?」と確認していることからも伺えます。

A栄田が告訴状をつきつける場面
 告訴状の作成も行政書士法第1条にある「官公署に関する書類」の作成とその提出代理として、行政書士が行う業務です。厳密に言うと
(1)警察署に対する告訴が行政書士と弁護士
(2)検察に対する告訴が司法書士と弁護士
(3)労働基準監督署に対する告訴が行政書士、弁護士
(三番目は解釈上、社会保険労務士も認められる場合がある)
となっており、それ以外の者が業務として行うことはできません。

 行政書士の場合、あくまで「官公署に提出する」ことが認められているに止まり、ドラマで栄田が行ったように、被告訴人(健司のこと)に告訴状を見せつけて、後の民事請求(ドラマでは慰謝料請求)を有利に進めるために行うことは許されません(これは絶対、誤解しないようにしてくださいね)。

 相手方に直接交渉をする場合は弁護士(または140万円以下の事件の場合に限り、認定司法書士「日本司法書士連合会が行う特別研修を修了し、少額民事訴訟等を行う能力があると認定された特別の司法書士」)のみしかおこなえません。

 いずれにしても、告訴状をちらつかせて、慰謝料請求を行うことは弁護士が行った場合でも、ヘタをすれば恐喝にあたりますので、あまりやらないことだと思います。

B栄田が希美を助け出す場面
これは、ドラマですねえ・・・。
 実務上ここまでしてくれる行政書士さんはいないかも・・。したとしても、もちろん無報酬ですね(笑)
省略しましたが、ドラマではここで警察の駐禁に対する、栄田の「カバチタレ」がありました。現実では弁護士や行政書士などの士業に対して、警察が無茶な取締りはしないようです(言い返されるから・・)。

C大野が事務所に乗り込む場面
 かなり脚色されてカッコよく仕上がってますね(笑)。というか陣内さんカッコ良すぎです。
 はじめに栄田が「紙切れ一枚で、何かを守り、戦うことが出来る。行政書士って、そういう仕事」と解説していますが、大まかその通りですね。特に「紙切れ一枚で何かを守る」というのはピッタリきます。
 対して「戦う」という場面は非常に少ないです。僕が思いつくのでは告訴のみですね。内容証明も使い方によってはそうかもしれませんが、行政書士としては内容証明も「何かを守る」ために使うのが普通です。

 まー役所に対して許認可を求めることなどを「戦う」と表現すれば間違いではありません。 現実的に言えば「紙切れ一枚で、何かを守り、お上に対してお願いもする。行政書士って、そういう仕事」です。
 後半の大野さんの奮闘は完全にあり得ません(汗)。

 尚、これは法律的な交渉ではありませんので、いわゆる弁護士法違反とはならないでしょうけど、現実的にみて、行政書士がヤクザんとこに乗り込んでどうする? っていう感じです。まー頑張って、内容証明なら出しましょうか・・・。うちの事務所も(笑)
 それと、大野の金バッジを見てヤクザが弁護士と思いビビるけど、代書屋(行政書士)と聞いて「で、代書屋さんが、何の用?」と盛り返すあたりは面白い演出でした。
 まー実際は弁護士でも、ヤクザがビビるってことはあまりないと思います。(^^;)

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