特上カバチ!!第10話「最後の敵!それは父!!」

 特上カバチ!!第10話のあらすじについてはTBS公式サイトで、ご確認ください。

特上カバチ!!行政書士から見たレビュー

 終わりました。ドラマとしては良い盛り上げ方だったように思います。

特上カバチの最終回は悪徳弁護士の鷲塚(田村父)との全面対決です。
多重債務者を食い物にして荒稼ぎしている犬神弁護士(まさかの坂口憲二!)。
この相談にのっていた田村くんが犬神弁護士が鷲塚弁護士の子飼いと知りマジギレします。

犬神弁護士に交渉しますが(当然無報酬でしょう)。
そこは相手は弁護士。
「事務手続きのミスじゃないという証拠がない」と開きなります。それどころか、警察を呼ばれて強制退去。

相手が弁護士なら、こっちも弁護士
と思ったのか、毎度お馴染みの検備沢弁護士に協力要請。

しかし、協力はしてくれるものの「弁護士になりなさい」と一喝。

それは、そうですね。
田村くんは個人的な価値観で燃えていますが、行政書士の職務は「依頼者の意向を正確に法律的に表現し、法的な知識に基づく整序的な事項を書類作成を通してカタチにすること」です。

いわば、法律の知識をあまり持たない依頼者が自分自身で法律的な主張をするための翻訳家であって 法律の解釈はもちろん、何か正義で、何が悪か。あるいは何が正しくて、何が間違っているか、これらを主観で行なうことは行政書士としてふさわしくありません。

田村くんのとった行動は弁護士会へ鷲塚弁護士を懲戒請求する作戦。

すると、鷲塚弁護士は東京地検に弁護士法違反の疑いで大野事務所を告発。

ここで判りましたが、やはり大野事務所は以前から弁護士法違反の疑いをかけられていたようです。

「特上カバチ!!」もとい田村くんが弁護士を毛嫌いしていた理由は「法律を金儲けにしているその生きざまが許せない」ということのようです。

オープニングを見る限り、確かに検備沢弁護士もゴージャスですが、それを言うなら、重森さん(札束をならべ薄ら笑みを浮かべる)も相当に怪しい気がします。

そもそも第一話かニ話で、悪いことを助けるために、仕事をしていた大野先生と重森さんの話がありました。

痛いとこを突かれたからか解かりませんが、大野先生は「理想の法律家とは何か、お前自身が決めろ」と放任主義となられました。

この時の田村くんの決断はどっちだったのか不明ですが水野の奥さんが手術をする事で水野さんに即金が必要となりましたので、示談に応じることを選択します。

示談をしようとする田村くんに鷲塚弁護士は嫌がらせで、謝れとおっしゃる。
ここで土下座する田村くんは偉かったですね(涙)。

しかし、ここで「弁護士として、真実を曲げるわけにはいきません」と検備沢弁護士と大野事務所メンバーが登場。

失うものはないから、事務所をつぶすなら、つぶせという主張。
ようは刺し違えてでも、鷲塚弁護士の築いた社会的地位を叩き潰すということですね。

なんか、フジテレビ版のカバチタレに似た展開ですね、コレ。

結果的になんとか勝利した田村くんと住吉さんでしたが

検備沢弁護士からは弁護士を目指すことを勧告されます。

ここで、解説しておきますと

行政書士になるためには、行政書士試験に合格することが必要です。
一方、弁護士になるには(現段階では)法科大学院に行き、司法試験に合格し、さらに司法修習を経て、最終試験に合格する必要があります。

その点で、行政書士の取り扱う業務範囲より、弁護士(裁判官、検察官含む)の取り扱う業務範囲の方が広いのは当然のことでしょう。

司法試験の合格のしやすさ、又はし難さについて、ここでどうこう言うつもりはありませんが(仮に)住吉さんと田村くんが司法試験に受かる能力を持っていたとして

検備沢弁護士事務所に勤めること = 弁護士になる

ということではありません。

ということは(想像ですが)ここでのお誘いは

@検備沢弁護士事務所で事務員として雇ってあげる
A夜間の法科大学院に行きなさい(ひょっとすれば、学費を出してくれるか、補填してくれる)
Bとにかく、合格しなさい
C合格後、司法修習中は事務所を休ませてあげます。
D最終試験合格後、正式に弁護士として雇ってあげる

という条件に違いありません。

これは、相当良い条件だと思います(なんてうらやましすぎることでしょう)。

田村くんは「本当に困っている人が、まず弁護士に救いを求めるでしょうか?」と言いましたが
ならば、弁護士になって無料で勤務時間外に人助けをすれば良いわけですよね。

大野事務所で勤務時間中に、無報酬でボランティアをするよりもよっぽど合理的です。

前々回に書いたように、弁護士さんが人助けしにくい理由は

事務所の経営コストや弁護士になるまでに投資した費用などの面から、難しいわけなのでそれをクリアできる検備沢弁護士の提案は合理的なのです。

僕なら、すぐに了解して勉学に励みますよ(笑)。
そして、合格できたら無報酬で人助けしますけどね。

ともあれ、二人は行政書士の道を選んだわけです。

そして僕自身も、現段階では同様の道を選んでおります。

ここまで10話、特上カバチ!!を検討し、誤解を招く部分の指摘を中心に解説してきました。

これらでも明らかなように行政書士は隣接法律職として決して万能な存在ではありませんが、行政書士なりにいろいろと皆さんのお役に立てるように試行錯誤しております。

特に行政書士は法規定上も実務上も交渉・トラブルに介入することはできませんが、争いをおこさず、自分達で納得し、専門的な手続きの代行やアドバイスだけを必要とする場合等に行政書士がお手伝いをさせて頂いております。

何かお困りのこと、悩んだことがありましたら、まずはご連絡ください。
法律的な問題(訴訟・示談の必要性など)がすでに顕在化しているかを考慮し、行政書士として終局的に解決するか、弁護士に移行すべきかを厳密に判断することも踏まえ、何らかのご提案をいたします。

これからも、当事務所、または行政書士をよろしくお願いします。

PS.番組最後の場面。気が付いたら桜の季節になっておりました。行政書士試験合格発表は1月末です。田村くん、落ちたこと黙っていたのですね・・(苦笑)

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